- 316 - = =2018/6/21 8:18:39
- 332 - = =2018/6/21 20:59:37
ジャニーズ事務所が所属タレントに対し、「全員参加必須」のコンプライアンス講習を受けさせていることを20日の日刊スポーツが報じ、話題になっている。報道によれば、この講習は先月中旬から段階的に行われており、若手はもちろん、嵐、TOKIO、V6といった古株のタレントも参加するという。
これはもちろん、元TOKIO山口達也による女子高生への強制わいせつ容疑や、NEWSメンバーによる相次ぐ未成年女性との飲酒問題など、ジャニーズ事務所所属タレントによる不祥事が相次いだことへの対策だろう。
しかし、この講習でジャニーズタレントたちの行状は改善されるかというと、まったく期待できないだろう。というのは、記事にはこんな記述があったからだ。
〈未成年の女性と飲酒したと一部で報じられ、今月7日に活動自粛処分を受けたNEWSの小山慶一郎(34)と厳重注意となった加藤シゲアキ(30)は、全員参加の講習に加えて、弁護士と個別で面談を重ねている。ほかのタレントよりも、より徹底してコンプライアンスについてたたき込まれているようだ〉
ちょっと待ってほしい。小山や加藤が受けるという弁護士との個別面談がつく別メニューに、なぜ手越祐也(NEWS)の名前がないのか。手越も、小山や加藤と同様に〈より徹底してコンプライアンスについてたたき込まれ〉なければならない1人ではないのか。
手越は、「週刊文春」(文藝春秋)2018年6月21日号にて、未成年女性との飲酒疑惑を報じられたばかり。記事によれば、昨年12月、手越は六本木の会員制ダーツバーで開かれたパーティーに参加。そこには、芸能事務所に所属する、19歳と17歳(当時)の女性タレントも同席していた。「週刊文春」が手にした動画には、高級シャンパンのボトルとグラスも映っていた。
ほんの1週間前には同じNEWSの小山と加藤も未成年女性との飲酒を報じられ、小山は活動自粛、加藤は厳重注意の処分を受けたばかりだ。それぞれ自身のレギュラー番組で謝罪したことなどを、テレビも大々的に報じていた。
ところが驚いたことに、手越の未成年飲酒疑惑にテレビ局や御用マスコミは沈黙。小山、加藤のときとは一転して、ワイドショーなどが手越の未成年飲酒疑惑を報じることは一切なし。処分が発表されることもなく、何食わぬ顔で手越は日本テレビ系2018FIFAワールドカップロシア大会メインキャスターの仕事を、予定通り務めている。
それどころか、今週発売の「週刊文春」18年6月28日号では、取材先のロシアにて日本テレビのスタッフ15人ほどとパブで宴会をしていたと報じている。酒がらみのスキャンダルを報じられている渦中なのにも関わらず、そこに気を配る気すらないようだ。
日テレも日テレだ。小山とちがって、手越は報道番組に関わっているわけではない、同じキャスターでもスポーツ番組ならかまわないとでもいうのだろうか。しかし、こんなことはジャニーズ事務所以外のプロダクションのタレントなら、放置されることはないだろう。実際、今回の騒動で手越と同席していたとされる17歳の女性のほうは6月11日付で事務所との契約を解除されている(所属事務所は飲酒の事実は否定。今回の契約解除は18歳以下の未成年が深夜に出歩いたためと説明)。本来、責任をとるべきは、未成年者を深夜のバーに同席させた30過ぎの大人の手越のほうだろう。
もしも手越がジャニーズ事務所のタレントでなければ、連日のようにワイドショーでバッシングを受け、当然、ワールドカップのメインキャスターなど降板せざるを得ない状況に追い込まれていてもおかしくない。現に、手越も出演する日テレの『世界の果てまでイッテQ!』をベッキーはたかだか不倫で降板させられたまま、いまだ復帰に至っていない。
手越のワールドカップキャスター続行だけでなく、加藤の処分が小山に比べ軽かったのも、7月からスタートする日テレのドラマ『ゼロ 一獲千金ゲーム』の主演が決まっているためといわれる。『news every.』で小山が生謝罪した際、共演する日テレの藤井貴彦アナは偉そうに説教を垂れていたが、日テレのコンプライアンス意識はいったいどうなっているのか。
日テレだけではない。小山と加藤に関しても、珍しくテレビなどでもきちんと報じられたという印象になっているかもしれないが、そうではない。「文春オンライン」が雑誌の発売前日にネットで記事を配信した時点で、普段な後追い報道を始めるのに、小山?加藤の件はほぼ丸1日のあいだ大手マスコミはスルー。ジャニーズ事務所が処分を発表し報道にOKを出したあと、ようやく横並びで一斉に報じたにすぎない。そして、手越の不祥事にいたっては、上述してきたように完全黙殺。結局、ジャニーズタレントの不祥事を報道するかしないかが、ジャニーズ事務所の意向しだいなのは、何ひとつ変わっていないのである。
本サイトでは繰り返し指摘してきたが、こうしてジャニーズ事務所の顔色を伺いジャニーズタレントの不祥事は一切報じずなかったことにしてしまう、大手芸能マスコミの姿勢が、ジャニーズ事務所所属タレントの増長を引き起こし不祥事を生んでいる最大の要因だ。
ジャニーズタブーを抱える地上波テレビやスポーツ紙は、弱小タレントなら不倫やマナー違反などどうでもいいことをあげつらい非難する一方、ジャニーズタレントに対しては刑事事件の可能性のある不祥事ですら一切報じず、なかったことにしてきた。
例を挙げれば多すぎてキリがないが、最近でいえばHey! Say! JUMP中島裕翔による、一般女性への痴漢事件だ。
30代の女性会社員から「男性に路上で抱きつかれ、上半身をさわられるなどした」という110番通報があり、policeが駆けつけるとそこには泥酔した中島の姿があったことから、中島はpolice署に連れて行かれ、任意の事情聴取まで受けた。この事件については、ジャニーズ事務所も事実を認めたうえで、「泥酔下とはいえ、このような事態になりました点について、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本人も深く反省しております」と謝罪。その後、女性が被害届を出さなかったため事件化は免れたが、見知らぬ女性に抱きついたとなれば立派な痴漢行為である。
しかし、大手メディアはこのスキャンダルを報じた「週刊文春」16年5月26日号の報道を一切後追いせず、完全に黙殺。その年の7月には、中島の主演ドラマ『HOPE?期待ゼロの新人社員?』(フジテレビ)が、なにごともなかったかのように放送された。今回の件でも、手越は日テレのワールドカップキャスターを予定通り務め、加藤が主演する『ゼロ 一獲千金ゲーム』は予定通り放送される予定だ。同じことがいままさに繰り返されようとしている。
こういった話はまだまだある。「週刊現代」(講談社)08年8月9日号が取り上げた、大野智のスキャンダル。記事によると、渋谷区のカラオケボックスで行われた「飲み会」で一緒になった女性二人と大野は、宴会中に回したジョイントで気分がよくなったのか、そのまま女性のうちの一人の自宅マンションで飲み直すことに。そこで大麻をやって3P状態になったという告白が参加者から語られた。この「週刊現代」報道が事実だとすれば、大麻取締法違反の疑いもあったが、これもまたワイドショーなどではいっさい報じられることはなく、うやむやになって終わっていった。
何をしたって事務所とメディアが、「なかったこと」にしてくれる。そのことがジャニーズタレントたちのハメを外した行動を後押しする大きな要因となっていることは、もはや疑いようがない。
そして、今回のコンプライアンス講習の記事だ。不祥事防止策を報じる記事ですら、相変わらず事務所の意向を忖度して、手越らの不祥事はなかったこと扱いしているようでは、元も子もない。手越が実際には厳しいバージョンの講習を受けたが記事に名前がないだけなのか、そもそも受けていないのかわからないが、いずれにしてもジャニーズ事務所と忖度メディアがその癒着体質をあらためる気などないことだけはわかる。
だいたい、報じられている講習内容もよく読めば〈スマートフォンなどのセキュリティー管理といった基礎的な部分をはじめ、法律についての座学や、どのような場合に法令違反となるかなどのケーススタディ〉と、まるで不祥事がバレないための危機管理対策にすら思えてくる。
少なくとも、今回ジャニーズ事務所が所属タレントに対しコンプライアンス講習を開いたというのが、事務所批判をかわすためだけの単なる対外アピールにすぎないことは明らかだ。こんな上辺だけのコンプライアンス講習など何回開いたところで、ジャニーズ事務所の強権隠蔽体質と、それに服従するメディアの癒着構造という根源的な問題をどうにかしない限り、ジャニーズタレントの不祥事は永遠に繰り返されるだろう。