「(スキャンダルは)あるけど、僕らはお世話になっているんですよね」「俺らのスキャンダルは撮らない」と見事に、SMAPがジャニーズタブーの存在を認めているのだ。自分たちのスキャンダルはやられない、「そもそも撮らない」とまで、当のジャニーズタレント自身が認識しているとは、「女性自身」もなめられたものだが、これは「女性自身」に限った話ではない。
ジャニーズのスクープといえば、本来なら女性週刊誌の格好のネタであるはず。しかし、「アンチ?ジャニーズ」として攻めの姿勢を見せている「週刊女性」(主婦と生活社)はまだしも、「女性セブン」(小学館)は際どいスクープは皆無で、せいぜいジャニーズアイドルと女性が夜の街を歩く2ショットどまり。そして件の「女性自身」(光文社)に至っては、中居、香取の瀑露どおり、近年スクープらしきスクープがないのが実情だ。
というのも、週刊誌を抱える各出版社は、アイドル誌や芸能誌も発行しており、スクープによっては、他の雑誌からジャニーズアイドルを引き上げられることに過敏になっているのだ。講談社の「フライデー」は、編集部ごとの独立性を尊重するという社風があるためジャニーズスクープを扱っているが、それでもジャニーズとは常に水際の交渉をしている。また小学館の「女性セブン」は、大きなスクープをつかんだ際、それをもみ消す代わりに他の情報を事務所から引き出したり、インタビューやグラビアに登場させるといった“バーター”“取引”が日常茶飯事で、ジャニーズがNOと言ったものは基本的に掲載されない。
なぜ週刊誌はジャニーズに逆らえないのか。ここで、毎年この時期に発表される、ジャニーズ事務所公認カレンダーの出版社別の割り振りを見てみよう。今年は、Hey!Say!JUMPが光文社、Kis-My-Ft2が小学館、Sexy Zoneがホーム社/集英社、A.B.C-Zが学研プラス、ジャニーズWESTがワニブックス、ジャニーズJr.が集英社から発売される。このカレンダーは莫大な利益を出版社にもたらす、大きな利権になっている。さらにどのグループがどの出版社に割り振られるかは、出版社の貢献度に応じて決まると言われているが、今年の売れ筋であるHey!Say!JUMP、Kis-My-Ft2がともに女性週刊誌を持つ版元から発売されていることを見れば、ジャニーズ事務所と女性週刊誌の「持ちつ持たれつ」「お世話になっている」の関係が浮き彫りになる。
カレンダーのみならず、ジャニーズアイドルの著作や写真集といった「金脈」は、年単位で事務所と出版社の駆け引きによって実現するとも言われており、スクープの取り扱いと利権は複雑に絡み合っている。
まさに、SMAPのふたりが瀑露していたとおり、「お世話になっている」から「スキャンダルは撮らない」のである。
それにしても、「お世話になっているから、スキャンダルをやれない」などという週刊誌にとっては恥ずかしい瀑露話を、嬉々として掲載してしまう「女性自身」って……。利権とタブーにどっぷり浸かりすぎて、もはや「ジャニーズスキャンダルをやれない」ことに対する葛藤すらないのだろう。なんとも情けない話である。