キスマイ、類稀なるバラエティ力 ゴールデン進出へ高まる期待
出演する深夜バラエティ『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)が、この春からゴールデンタイムに進出するアイドルグループ?Kis-My-Ft2。さまざまなテーマを10万円で達成する実験ロケに彼らが挑み、それを“見届け人”のサンドウィッチマンが評価する形式の「実験バラエティ」番組だが、「10万円宝くじ買ったら元がとれるか」「10万円分の深海魚が釣れるか」など、アイドルとは思えない体当たりの企画が多いのが特徴だ。過去には『濱キス』『いきなり!黄金伝説』(テレビ朝日系)などでも過酷なロケをこなし、冠番組『キスマイBUSAIKU?』(フジテレビ系)でも輝く、単なるアイドルではない彼らの芸人顔負けのバラエティ力を掘り下げる。
■昔ながらのロケ企画になじむアイドルグループ
現在、各メンバーがドラマやバラエティなどで活躍するKis-My-Ft2(北山宏光、千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、藤ヶ谷太輔、玉森裕太、二階堂高嗣)は、今後の幅広い活躍が期待されるアイドルグループの一組。そんな彼らが他のアイドルグループと異なるのは、バラエティでのアイドルらしからぬ体の張り方。テレビ黄金時代からある“ストレート”なロケバラエティによくなじむのだ。
例えば、12年によゐこの濱口優と出演した『濱キス』では10メートルの飛び込み台から飛び込んだり、2チームに別れて山中の食材だけを食べ、1日でより体重が増えた方が勝ちというバトルなどに挑戦。このサバイバルでは、アケビやタンポポ、魚にたけのこ、またマムシやカエルなども自らさばいて「いただきます」。また「アニマルキス」の企画では、カバやイグアナ、パグやキリン、サソリといったどう猛な生き物とキスをするという、懐かしさも漂う80年代的な企画にも挑み、ファンからは喝采と悲鳴を浴びた。
このほか北山は、『キスマイ北山宏光ひとりぼっちインド横断バックパックの旅』(日本テレビ系)で、所持金1万円で2945キロのインド横断ひとり旅。『いきなり!黄金伝説』では、玉森裕太が「1ヶ月1万円生活」の企画に挑戦して優勝。コンサート期間中にも関わらず海で魚を調達したりと、全力の奮闘を見せていた。
■“BUSAIKU”すらもネタに? メンバーもファンも楽しむ余裕
特筆すべきは冠番組『キスマイBUSAIKU?』だ。この番組の由来は、ネット上で「キスマイってジャニーズグループでもブサイクじゃない?」と言われていたこと。これは男性やアンチからだけではなく、ファンもネタにして語っていたことから、「だったら誰もが認めるかっこいい男になってやろう」というのがコンセプトになっている。この衝撃のタイトルも話題になり、13年にレギュラー化。17年により過激なテーマに挑戦するため改題したが、『キスマイ超BUSAIKU?』と「ブサイク」の前に「超」がつく“遊び”が施され、それをおもしろがって許すメンバーとファンの寛大さも特徴的と言える。
同番組のメインコーナーは「キスマイBUSAIKUランキング」。さまざまな男女の恋のシチュエーションでメンバーがそれぞれ自分がカッコいいと思う振る舞いを演じて見せ、モニターとして集められた「キスマイのファンではない一般女性100人」がそれを評価。その評価が振る舞いのたびに画面に表示されるのだが、もちろん誰が見てもカッコいい振る舞いでは「これはときめく!」などのキラキラコメント。しかし彼女たちの趣味に合わないと、「キモい」「シンプルにドン引き」「死んでほしい」などと辛らつなコメントが画面を埋め尽くす。そして、それが最終的にランキングとしてメンバー間のランク付けとなるわけだが、これもメンバーもファンもおもしろがって許してしまう。非常にお笑いと相性が良いのだ。
また、事務所の先輩で師弟関係でもある中居正広が度々ゲスト出演。デビュー当時、衣装にも露出にも大きな格差があったキスマイを、最初にイジって笑いに変えたのが中居だ。宮田、横尾、千賀、二階堂の4人ユニット「舞祭組」(ブサイク)もプロデュースし、楽曲も提供。彼ら自身がテレビやインタビューでも自身を「舞祭組」と名乗るというシュールな場面が登場することになり、キスマイファン以外の視聴者からも「キスマイはおもしろい」という印象を与える効果を生んだ。
■“深夜”の香り漂うキスマイがゴールデンでどんな爪あとを残すか
これらはもちろん彼らの際立った個性があってのもの。なかでも宮田はアニメ『ラブライブ!』ファンであることを公言しており、ネットでは同アニメの声優ユニットのコンサートでの目撃証言が多数。オタクを公言するタレントが「キャラ付け」「にわか」と叩かれることが多いなか、「宮田はガチ」とオタク界隈の評価も高く、世間では「オタクでもジャニーズになれると証明した初の人物であり、それを公言しても熱狂的なファンがつくことを証明した」と讃えられている。
それぞれのカラーを有する個性、昔ながらのロケ企画になじむキャラクター、見事なリアクション、過酷さを笑いに変える芸風。バラエティで芸人顔負けの活躍を見せながら、本業である歌やダンスなどのパフォーマンスで輝き続ける彼らは、ファンからの“愛され、見守られる”なかで成長を遂げる、唯一無二の存在と言えるだろう。
そして、満を持しての『10万円でできるかな』のゴールデン進出。キスマイの番組と言えばどこか“深夜”の香りが漂うが、彼らがゴールデンタイムでどんな爪あとを残してくれるのか。楽しみにしたい。