58年に故フランキー堺さん主演で放送されたドラマ「私は貝になりたい」が、SMAP中居正広(34)で映画化される。TBSと東宝が製作し、来年冬公開予定。理髪店主が徴兵され、戦犯として処刑される悲劇を描いた名作は、59年には映画、94年には所ジョージ主演でドラマ化されている。TBSは今回、海外配給を視野に人れ、ドラマではなく映画化を決めた。
監督はTBSでドラマ「砂の器」「さとうきび畑の唄」「華麗なる一族」を手掛けた福沢克雄氏(43)。映画監督デビューとなる福沢氏は「いつになっても戦争は絶えず、3年前から企画していた」。主演に「砂の器」でコンビを組んだ中居を起用したことについては「国民に愛されるタレントの顔を持つ一方で、役者として後ろ姿で寂しさを伝えることができる」と説明した。
福沢氏は、58年当時の脚本を担当した橋本忍氏(89)と交渉を重ね、理髪店主夫婦の出会いや、夫人が米軍に助命嘆願書を出す場面などを厚く書き直してもらった。上官には逆らえない戦時下の不条理、戦争の非情を描きつつも、家族愛も濃くした新作は、今年秋から来年夏まで四季を追い収録する。
中居は「歴史のある作品に参加できてうれしく思います。プレッシャーもありますが、監督の方たちの胸をお借りして気負わず、頑張りたい」と話した。