◇専門家分析、モニタリング強化へ
東京電力福島第1原発の放水口近くで25日に採取した海水から基準の約1250倍の放身寸性物質、ヨウ素131(半減期8日)が検出された問題で、枝野幸男官房長官は26日、海水の汚染状況の調査を強化する考えを示した。また、海水などから検出されている放身寸性物質の種類から、専門家は発生源を「原子炉の燃料が損傷したもの」と分析している。
枝野氏は26日の記者会見で、「より広範な地域で海水のモニタリングは強化しなければならない」と述べた。ただ、「海洋生物に影響を及ぼす可能性は低い」と強調した。
24日午前に同じ地点で実施した調査結果は、ヨウ素131は基準値の103?9倍で、1日で10倍以上に急増している。枝野氏は「1日で同じ地点の放身寸線量が大きく伸びていると報告を受け、東電、原子力安全?保安院に検討、分析をお願いした」と述べた。
また、国の原子力安全委員会は26日の会見で、「ただちに健康に影響するものではない」とする見解を示した。
保安院の発表によると、ヨウ素131などの他に第1原発の放水口付近ではモリブデン99(半減期66時間)が、3号機タービン建屋地下で見つかった水たまりからはバリウム140(同13日)やランタン140(同2日)など、半減期が比較的短い放身寸性物質が検出されている。
これらの放身寸性物質は核Fen_Lieによって生成されるため、11日の原子炉の緊急停止以降は減り続けている計算になる。
野口邦和?日大専任講師(放身寸線防護学)は発生源について「モリブデンやバリウムなどあまり外に出ないものまで検出されている。明らかに原子炉の燃料が損傷し、冷却水と混ざったものだ。定住している海藻類は問題が生じるかもしれないが、一般に広い海域を回遊している魚では無視できるレベルだとは思う」と話している。
東電は「放身寸性物質を含んだ水が海水に漏れだしている可能性が高い。(1~3号機のタービン建屋地下で見つかった)水たまりから出ている可能性も否定できない」とし、海水の調査を1日1回から2回に増やす。
福島第1原発では26日、1、2号機を中心に復旧作業が進められた。2号機では中央制御室の照明が点灯、原子炉に注人する水の真水への切り替えにも成功した
毎日新聞 2011年3月27日 東京朝刊