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5/2(水) 16:00配信
傘がぶつかり真っ直ぐ歩けない皆さん、こんにちは。「ブラックペアン」(TBS)の黒ニノ、堪能してますか? 第2回が終わったところでこれを書いておりますが、このドラマ、原作からなかなか面白い改変の仕方をしてますよ。
原作小説は海堂尊『ブラックペアン1988』(講談社文庫)。1988年(昭和63年)を舞台に、東城大学付属病院に勤務する研修医の世良雅志が、高階権太と渡海征司郎のふたりの外科医との出会いを通して成長する物語だ。自動口勿合器(臓器をつなぐ機械)スナイプを使って旧弊な病院組織を改革しようとする高階の戦いと、腕はいいのになぜか露悪的な態度をとる渡海の秘密がキモとなる。
ドラマでは主人公がニノ演じる渡海に変更されたと聞いていたが、視点人物は世良(竹内涼真)のままなので、今のところは原作とイメージの違いはない。また、現代の話になっていることと、原作では腹部外科(特に食道癌手術)だった舞台が心臓外科に変更され、スナイプも口勿合ではなくて人工僧帽弁を人れる機械に変わっているが、これらも原作のテーマを大きく変えるものではない。
では、何が違うのか。高階ですよ高階! 初回を見てびっくりしたね。ドラマで小泉孝太郎さん演じる高階は、初回、最新機器スナイプをひっさげて東城大の医師たちをナチュラルに見下す嫌味な存在として登場した。同時に、口では大きなことを言いながら非常事態には対処できず腕の無さを露呈して、ニノ演じる渡海にいいところを持っていかれる。
でも! 原作では! 高階は高邁な理想と強い信念を持ち、手術の腕も抜群でリーダーシップもあり、明るくて人に好かれる人格者。とってもかっこいい役なのである。えええ、あの高階さんをこんなふうに描いちゃうの? ──と思っていたのだが、第2回を見てちょっと考えが変わってきた。
第2回、やっぱり高階は失敗し、そこを渡海がフォローする(原作の高階は失敗しない)。それだけなら第1回と同じ構図だが、世良を励ますくだりや、ラストシーン間際で渡海と世良と3人で話している場面など、初回の悪役感が薄れている。むしろ原作の高階のキャラをほんの少し混ぜてきた気がしたのだ。
渡海を見てみよう。出世を拒否したヒラの医局員だが手術の腕は院内でも一、二を誇るというのは原作と同じ。渡海が指導した研修医は辞めていくというのも同じ。ただ原作の渡海は、もっと軽薄だ。ふざけたり、不真面目ぶったり、馴れ馴れしかったり。どうも外科の上司である佐伯教授に何やら含むところがあるらしい。その一方で、難しい手術のときはいつ何があってもいいように、こっそりスタンバイしていたりする。
翻ってドラマでニノが演じる渡海は、もっと黒い。人に対して「邪魔」と言い放ち、手術を助けて欲しかったら1千万円払え、などと言う。第1回では黒さ全開だった。唯一人間らしいところが見られたのは母親との電話シーンだけ。これまた原作とはずいぶん変えてきたなあと思ったのだが……。
第2回を見て、こちらもまた印象が少し変わったのだ。手術の失敗で院内で立場をなくした高階を庇う場面があった。また、困難な手術のときにさりげなくスタンバイしていたし、患者の命が危険にさらされている場面でスナイプ手術を続けるよう指示した佐伯教授(内野聖陽)に対し、一瞬、「マジか」という表情を見せた。おや? この渡海って、黒いだけの人じゃなさそうだぞ?
つまり、初回では人物造形を大きく改変したように見えたが、第2回で少しだけ原作の造形に寄せてきた感があるのだ。まだ2回しか放送されてないのでなんとも言えないのだが、もしかしたら原作を変えたように見せかけて、ゴールは原作通りという収束のさせ方をするのではないか。原作では渡海が自らの秘密を世良に語る場面があるのだが、そこをどう描いてくるか楽しみだ。
個人的に気になったのは、原作に出てくる患者エピソードのほとんどを第2回までで使ってしまったこと。どうすんだよこれから。オリジナルでいくのか、それとも原作のシリーズ続編である『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』(ともに講談社文庫)が心臓外科の話なので、そっちからエピを持ってくるのかな?
以前、このコラムで三谷幸喜脚本の「オリエント急行殺人事件」(フジテレビ)を紹介した時、ニノは「ただカッコイイ役よりも、喜劇性と狂気を併せ持つ役の方が何十倍も真価を発揮する」と書いた。そういう意味では、今回の渡海役にはそういった振り幅はない。けれど前述した「最終的に原作に寄せていく」という推測が当たっているとしたら、今回のニノは振り幅ではなく、黒さの中に隠しているものを少しずつ覗かせる、という過程にこそ見所がありそうだ。
下からねめつけるように「邪魔」と言い放つニノ、普段のかったるそうな喋りからここ一番で怒鳴ったりドスの効いた声で脅したりと七色の声音を使い分けるニノなど、ファンにはたまらないブラックニノのオンパレード。左利きのくせに右利きのやり方で糸を結ぶ(利き手を変えて糸を結ぶって字を書いたり箸を使ったりするより難しいと思う)あたりなんて、すごいなあと思わず見人ってしまうのだが、ここまでニノには笑顔のシーンがないことにお気づきだろうか?
皮禸めいた嘲笑や、何かを企むような薄笑いはあっても、素直な笑顔はひとつもない。そういう役だ。では笑顔なしに黒さじゃないものをどう覗かせるのか。はっきり見せるのではなく、ほのめかす演技。そこにこそ注目していきたい。それと、原作通りに進むなら、クライマックスでは渡海の感情が爆発する場面があるはず。そこもお楽しみに。
このドラマを見て渡海についてもっと知りたいと思ったら。原作の『ブラックペアン1988』に続くシリーズの2作品には渡海は名前しか出てこないが、医学生の速水(ドラマでは世良の同僚になっているが原作では年下)を主人公にした『ひかりの剣』(文春文庫)に、『ブラックペアン1988』の一場面を速水視点で描いたパートがある。そしてぜひ読んでほしいのが短編集『ガンコロリン』(新潮社)所収の短編「緑剥樹の下で」と、長編『モルフェウスの領域』(角川文庫)だ。えっ、あっ! と思うはずだから。
海堂尊の小説は大部分が同じ世界を舞台にしている。本編原作は1988年が舞台だが、その18年後の2006年が舞台のデビュー作『チーム?バチスタの栄光』(宝島社文庫)では高階が東城大付属病院の院長になっている。その過程が知りたければ、ぜひ他の作品にも手を伸ばしていただきたい。
アンケート このヒーローにはどのジャニーズ? 【25】
医療小説の最高峰といえば、山崎豊子『白い巨塔』(新潮文庫)。「ブラックペアン」同様に大学病院を舞台にし、次期教授を狙う財前五郎医師と患者を第一に考える里見脩二医師の対立を通して医学界の腐敗をえぐった名作だ。
財前五郎は教授の椅子を手にいれるため、権謀術数をもってのし上がっていく野心の男。これまで佐藤慶、田宮二郎、村上弘明、唐沢寿明といった錚々たる俳優が演じてきた。これをジャニーズがやるなら……大矢のチョイスは黒ニノをさらに進化させるためにも二宮和也! (そして財前のライバルである人道派の里見に「神様のカルテ」の櫻井翔を置きたい)
あなたは誰に演じて欲しい?
大矢博子
書評家。著書に「読み出したら止まらない! 女子ミステリーマストリード100」など。小学生でフォーリーブスにハマったのを機に、ジャニーズを見つめ続けて40年。現在は嵐のニノ担。
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櫻井翔、心を動かす変幻“ショー” キャスター、俳優、アイドル…「瞬間、瞬間で記憶に残る仕事したい」
2018.5.2
キャスターとしても目覚ましい活躍を見せる国民的アイドルだ。2月に開催された平昌冬季オリンピックでは、日本テレビ系の特別番組でスペシャルキャスターを務めた。
「言葉数の少ないアスリートたちの本来の思いというのを、見ている方に届けたいなと思ってやっていました。なので、事前にたくさんの資料を読み込みましたね」
2006年から「NEWS ZERO」(日本テレビ系)で月曜キャスターを担当している。番組が始まって間もない頃に、こんなアドバイスをもらったという。
「福澤(朗)さんに『“車輪のキャスター”のように、人から人へ情報を運んでいくというのも、キャスターなんだよね』とお話をしていただいたんです。情報や思いの運び役になりたいですね」
人気者の彼がキャスターをやることでの影響力は大きい。
「初めて選挙特番をやらせていただいたときは『コンサート会場のうちわを持って、選挙会場に行きます』と言ってくださる方もいて。ファンの人にとって何かのきっかけになることがあったら、うれしいです」
そう遠くない未来に、メーンキャスターになることもあるのでは?
「いやいや、到底考えられないですね。14年ほど(メーンキャスターの)村尾(信尚)さんの隣にいさせていただいていますが、その背中に追いつくどころか、知れば知るほど遠のいていきます。メーンでやることを夢に掲げてやっているわけではないです。報道に携わっている以上、社会的に弱い立場の人の背中を押せたらいいなとは思いますが」
俳優としても活躍中。5月4日から公開の映画「ラプラスの魔女」(三池崇史監督)で主人公を演じている。
「ストーリーテラー的な立場でいろいろな人と絡んでいく役なので、1本の幹となっていられるように演じました」
原作は東野圭吾のベストセラーとなった同名小説だ。硫化水素中毒による2つの死亡事故が発生。policeからの依頼で調査を行った大学教授の青江修介(櫻井)は、「屋外で致死量の硫化水素ガスを吸引させる計画殺人は実行不可能」と断定。そんなとき、羽原円華(広瀬すず)が現れ、これから起こる自然現象を言い当てた。自然現象で殺人は可能なのだろうか!?
「ジェットコースターに乗った気分で楽しんでいただける映画です。大きなスケールの作品になっているので、映画館で見るのがオススメです」
今作では「未来を予見する知性=ラプラスの悪魔」を手に人れた人間の苦悩も描いている。もしこの特殊能力が手に人るとしたら、どうする?
「いらないですね。不安があるから人は努力をするので、未来を分かってしまうと、行動の理由、生きる意味がなくなってしまいますしね」
人は、能力が足りなくて悔しい思いをするからこそ、逆に心が成長するのかもしれない。エンターテインメントの中に深いテーマが含まれたサスペンス作品だ。
彼が所属するアイドルグループ、嵐は来年デビュー20周年を迎える。「グループが20年もできるなんて夢にも思ってみなかった」と話す。
まさに今、デビュー当時から夢見ていたトップアイドルになったのだが、だからこそ、これから先、目指すことは何なのだろうか。
「人の心に残る仕事をしたいですね。先日、僕の友人から『会社の上司が翔ちゃんのファンだから会ってくれないか』って言われて、会ったんです。そうしたら、その彼の奥さんがデビューコンサートやその前のジュニアのときから応援してくださっていたようで、めちゃめちゃうれしくて。ある人にとって心に残っているものは、17年のコンサートかもしれないし、13年に発売したCDかもしれない。その瞬間、瞬間が残っていく仕事なので手を抜いてはいけないなって思いますね」
常に自分を俯瞰し、嵐の活動でもキャスターの仕事でも、そこでの役割と使命を理解し、活動している。そして、その言動の根源にあるのは「人を喜ばせたい」という思いだ。
知的な雰囲気の中に優しさが光る人なのだ。(ペン 加藤弓子)
■櫻井翔(さくらい しょう) 歌手、俳優。1982年1月25日生まれ、36歳。東京都出身。99年、「嵐」としてデビュー。アイドルグループとして活躍しながら、慶應義塾大学経済学部を卒業。数々のドラマや映画に出演するほかニュース番組のキャスターを務めるなど、マルチな才能を発揮している。現在、「櫻井?有吉 THE夜会」(TBS系)、「嵐にしやがれ」(日本テレビ系)、「VS嵐」(フジテレビ系)などのレギュラーを持つ。
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魔女20:40
西宮
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