SMAPは、アイドル王国ジャニーズ事務所の中で孤高の存在だった。

 事務所が主催するビッグイベントなどに他のグループがこぞって集まる中、距離を置いて参加しないことが多かった。毎年、大みそかに所属アイドルが総出演して東京ドームで開催するカウントダウン公演に出演したことは実は、1度もない。また、自分たちのレギュラー番組でジャニーズタレントと共演したり、他のグループなどの番組にゲスト出演することも、ほぼなかった。また、SMAPのメンバーが、連続ドラマや映画に主演した作品に、ジャニーズの後輩アイドルが出演することは、ほとんどなかった。他の人気グループとは明らかに一線を画した活動を続けていた。

 近年、状況が変わった。嵐をはじめ、後輩グループが次々と台頭。かつて事務所の「稼ぎ頭」として別格扱いだったSMAPも、ブランド力は維持しながら、後輩アイドルとの共演や交流も徐々に増えてきた。東日本大震災復興チャリティー「Marching J」にもほかのタレントと一緒に参加。レギュラー番組にジャニーズJrが出演することも増えた。徐々に“王国”の中で居場所を見つけていく流れが生まれつつあるようにも見えたが、長い時間をかけて出来上がった「距離」を縮めることはついにできなかった。

 デビュー曲の売り上げが思うように伸びず、音楽番組の減少など、草創期は強い向かい風を受け続けた。従来のジャニーズスタイルを打ち破り、バラエティー番組に活路を見いだすなど、SMAPが打ち出したスタイルは、国民的グループに駆け上がる最大の武器にもなったが、他のグループやタレントと距離をとるマネジメントは、ジャニーズ事務所内の大きな流れの中ではあくまでも「異色」だった。【近藤由美子】

※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀