北京五輪の影響で全体的に苦戦気味の夏ドラマも終盤に向けて盛り上がりを見せつつある。辛口なことで知られるテレビ誌『TVBros.(テレビブロス)』などにドラマのコラムを執筆してきた萩原まみさんに夏ドラマの今後を占ってもらった。

 前クールの『ごくせん』や『CHANGE』のような“目玉”がなく、注目作が絞りにくい夏ドラマ。そもそも、北京五輪という大イベントがあり、コンスタントに視聴率を稼ぐのは難しいだろうと予想されていた。

 実際にここまでの視聴率を見てみると、平均20%を超えるヒット作は生まれていない。そんな中、初回から比較的好調なのは『コード.ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)で、9話までの平均視聴率は15.48%。山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香というメインキャストの人気に加え、救命医療現場というドラマティックな設定が視聴者を引きつけている。その後を追うのは織田裕二主演の“月9”『太陽と海の教室』(フジテレビ系)。北川景子、吉高由里子、北乃きい、谷村美月といった若手の人気女優を多数起用したが、6話までの平均視聴率は14.50%と、やや伸び悩み。

 3位以下は、平均視聴率12%台に『ヤスコとケンジ』(日本テレビ系)、『Tomorrow-陽はまたのぼる-』(TBS系)、『シバトラ~童顔刑事.柴田竹虎~』(フジテレビ系)、『モンスターペアレント』(フジテレビ系)、11%台に『その男、副署長』(テレビ朝日系)、『魔王』(TBS系)、10%台に『ゴンゾウ~伝説の刑事』(テレビ朝日系)、『正義の味方』(日本テレビ系)と、団子状態の混戦になっている。

 6%台と大きく引き離された、『学校じゃ教えられない!』(日本テレビ系)、『ロト6で3億2千万円当てた男』(テレビ朝日系)、『恋空』(TBS系)以外は、どれが3位に人ってきてもおかしくない状況だ。

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一部に強い人気を誇る『魔王』

 視聴率以外に、ドラマの人気をはかるデータとしてソネットエンタテインメントの「G ガイド.テレビ王国ランキング」も見てみよう。これは、So-netの地上デジタル番組表サイト『G ガイド.テレビ王国』から録画予約(iEPGと書かれている)ボタンが押された回数を番組ごとに集計したものだ。主にテレビ機能付きのパソコンで録画された回数を示しており、ユーザー属性としては30代の男性が多い。

 「G ガイド.テレビ王国ランキング」で上位に食い込んでいるのは『魔王』だ。視聴率的には上の『Tomorrow』と『シバトラ』よりも上位にランクすることも多く、8月25日~8月31日の集計では、『コード?ブルー』に次いで2位に人った。裏番組でジブリ映画が放映されたり、オリンピック中継と重なったり、野球延長で時間がずれたりと、視聴者離れを招きやすい苦境が続いたが、録画しておいてしっかり見たいというニーズの表れだろう。主演の大野智と生田斗真の熱演、スリリングな展開に、「夏ドラマでいちばんハマった」という声も聞こえてくるほどだ。

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「連ドラ特集 08 年夏」http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20080716/1016728/

著 者

萩原まみ(はぎわら まみ)

フリーライター。『テレビブロス』(東京ニュース通信社)にて「あらま美形」を7年間連載、インタビューしたイケメンタレントは約200人! その一部は『あらま美形カタログ』として単行本化。連ドラの第1回はほぼ全部、面白そうな作品はほぼ全話見ている。ムーミンのコレクターとしても有名で、セクシュアルマイノリティにも詳しい。"