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『ブラックペアン』二宮和也が手術手技を熟知していると感じさせる細かい演出はこれ!
2018年05月04日 08時00分
ドラマ『ブラックペアン』で渡海征司郎役のニノ(二宮和也)は左利き?という噂を耳にしました。第1回のオペシーンでは右手で玄人さながらの縫合さばきを見せていました。まさかの差し替え?という噂も????
実際の左利きの医師でも、オペ縫合の訓練は右で行い、オペの縫合などで右手を使いこなしている者もいます。それだけ医療手技は特殊ということでしょうか。今回のドラマ監修の関係者の先輩曰くニノも含め、役者さんたちは糸結びの練習はかなりしていたとのこと。
糸結びとは、研修医の世良が医局で、筒の中の深い場所で絹糸を巧みに結ぶ練習をしていた、あれです。外科系の研修医はとにかく糸結びの練習を暇あるごとにします。
椅子のパイプなど細いところなどを見つけると、空き時間にとにかく外科結びの練習をしていますので、医局や病棟のあちこちに、ぴろぴり~っと絹糸の結んだあとが散財している光景はあるあるです。
そのように研修医はいざオペ中に「結紮してみろ」といわれることに備えるのです。ゆるくてももちろんダメだし、きつすぎれば組織の壊死を引き起こしますので、加減もとても大切。そしてひとたび外科結びを習得すると、日常生活の「結ぶ」行為は全て外科結びになってしまうのが外科あるあるです。
劇中での針糸を使った縫合シーンも本物と信じたいが......。謎は残ります。
オペの恐怖心と指導医への悔しさは研修医の成長の糧
毎回気持ちいいニノの一言。「じゃあ自分でやれよ!」この言葉、わが家で流行っています。「手術はばくち」「腕のいい医者は何をやっても許される、腕の無い医者は死んだらいい」
第2回もあらゆる名言? が出てきましたね。
渡海のもとで働く世良(竹内涼真)の成長もこのドラマのお楽しみです。純粋な医療と関係のない争いを続ける医師たちの間を走り回っている研修医、世良。現在の大学病院はこんなにブラックではありません。
ミシェランの☆の多いレストランでの食事、飛び交う1千万、ほんとに患者のことを考えて勧めているのか若干不安の残るインパクトファクターのためのオペ......。以前は多かったかもしれない接待の食事は今はほぼ不可能ですし、医局へのコメディカルの出入りもかなり厳しくなっているのが現実です。
研修医、世良の行動を見ていると、研修医時代が懐かしくなってしまいます。とりあえずは救急のコールを受けた世良はオーベン(指導医)の渡海先生を探しまくっていましたね。
そう、研修医君には心臓のオペは無理ですね!(笑)自分しか医者がいないと思い、手洗いをしながら頭の中で処置のイメトレをしまくるシーンはほっこりしました。どうしようどうしようと思いながらもオペ室に入ったら渡海がいた時には、少しがっかりした事でしょう。
でもこうやって渡海の前立ちに毎回は入れたら、外科医としてはかなりの勉強になりそうです!そして急に訪れた初オペのチャンス。「足の血管は太いからとりあえず縫っちゃいなよ!」と心の中で応援しつつ、渡海の口の悪さの中に優しさも見抜いちゃいました。
医師は常に死と隣り合わせ。状況によっては患者さんの人生を良くも悪くも変える......。甘い考えでは務まらないし、怖くて当たり前です。その怖さを払拭するためには、勉強し経験し、医師としての日々一生懸命、全うしていくしかないのです。怖いという気持ちやオーベンに対するくやしさも、成長の糧です。
アラフィフになってしまった私としては、渡海は口は悪いけど、確実に研修医は成長できる指導医だとも感じてしまいます。こんなオーベンについたら、すごい医者になりそうだなあ~。今は少ない体育会系?オーベンに叱られてやめてしまうような研修医はどこに行っても通用しません。どこの世界でも一緒ですね!
日本では国民皆保険制度のため治験が進まない
インパクトファクターというものを気に掛ける教授たちの会話がありましたね。これは論文が載る雑誌の質が高いほどインパクトファクターが高く、名声が上がるということです。佐伯教授はインパクトファクターが医者の価値?未来?人生すべてを変える、と語っていましたね。
教授になるためには論文実績やインパクトファクターの点数が評価されます。一般臨床医には全く関係のない話ですが、大学病院で上を目指すにはこのインパクトファクターが必要ということです。
そして面白いことに、ひとたび海外留学をして海外の有名医学雑誌に論文が載ったりすると、その医師は一気にインパクトファクターが上がったりするのです。だから、大学にいる教授が必ずしも臨床が上手とは限らない、という事態が起こり得るのです。ミシュランの☆の数、と例えていたのはわかりやすかったです。
ちょっと余談ですが、よく医師の会話の中では、「エビデンス(科学的根拠)がある」という言葉が使われます。世の中的にもエビデンスベースの治療(EBM)が推奨されています。
医者同志でもEBMの有無を議論することがよくありますが、整形外科医同士の会話では、「この治療はエビデンス出たんだよ」「へ~、そうなんだ!」で済むことが、内科医が入ると「そのエビデンスのインパクトファクターは?」などとインパクトファクターまで絡ませてくるあたり、ちょっと面倒くさい会話になってしまったりするのです(笑)。
そしてスナイプは治験でしたね。医療で使う機械や薬は必ず治験をします。湿布であろうと水虫の薬であろうと、治験で安全性と効果が認められないと国の承認が下りず、実際の臨床には出回りません。
私が大学に勤めているときに、グルコサミンの治験をしていました。結局、臨床薬としては優位な効果でなかったため承認されず、サプリ扱いになっています。
治験を行う病院は「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」に定められた条件を満たす病院のみです。日々、あちこちの認定病院で治験は行われていて、治験を行う病院には謝礼が支払われるのも事実です。治験専門病院もあります。
治験薬に合わせて、薬の使い方、患者さんの受診日や採血日などのプロトコール(臨床研究実施計画書)が決められています。そして治験には治験コーディネーターがいて、治験のあらゆる手筈を整えたり、文献を用意してくれたりしてくれるのです。
しかしながら日本では、国民皆保険が整備され治療費が安いため、治験がなかなか進みにくいのです。一方、アメリカでは入る医療保険によって大きな格差があります。保険未加入、あるいは費用の低い保険への加入者では、たとえ盲腸の手術でさえ非常に高額な治療費が請求されます。
ところが治験で治療を行えば無料、あるいは謝礼が出るので、治験を受けたがる人が多いため、新薬や機械の治験が進みやすいのです。
スナイプ手技の失敗=人工弁がいい場所に入らず左心室に落ちてしまいました。回収デバイスはなぜオペ室に初めから準備されていなかったのかなあ~?なんて思いながらモニターを見ていました。
実際に人工弁が左室に落ちたら、人工弁は洗濯機の中のように動き回ることでしょう。現実的には回収デバイスなんて不可能ではないかな? え~、鉗子で掴んじゃうの? なんて話しながら見ていたら、左室に穴をあけてしまいました(笑)。医療ドラマには大出血とパニックは必須なのでしょう。
ちなみに、大動脈弁の人工弁留置はカテーテル手技で行い、心尖部からの刺入はリスクが高いから行わないようです。
まっ、でも僧帽弁のオンビートオペはあんなに急務だったのに、心尖部の縫合は余裕だったのはなぜでしょう?そして世良の縫合はゆるゆるでした~(笑)!でも、医師は自分がやらなければこの人の命が危ない!という状況の時ほど成長するのも事実。世良も最後はいい顔をしていました!
そして、ニノが皆からオペを理由にお金を巻き上げるのには、何か理由があるような気がしてきました。病院に対する恨みなのか?私としたことが先読みが難しい???。
第3回は私の大好きな先輩がちょこっと出演するとの噂。楽しみすぎます。
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